先生の夢を語ろう

薬学部 安田一郎 教授

薬以外にもいろいろな分野の知識、技術を学ぶ薬学−この研究室で共に研究を進め、技術を習得し、現場で力を発揮してほしい。

北里大学大学院薬学研究科修士課程終了後、東京都衛生研究所に入所。研究員、主任研究員、その間、薬学博士号(東京薬科大学)を取得、米国ノースカロライナ大学チャペルヒル校薬学部の客員研究員、東京都福祉保健局参事を経て、2008年4月より本学薬学部(衛生/公衆衛生研究室)教授となり現在に至る。

研究のきっかけ

東京都立衛生研究所で天然薬物の調査研究をしていた昭和61年5月、沖縄でトリカブト殺人事件が起きました。前例がないため、急遽、警視庁からの要請で協力することになりました。トリカブトに含まれる毒物アコニチンの分析、資料(試料)収集、モデル実験などを行い、犯人逮捕、起訴につながりました。アコニチンの毒性、トリカブトの入手方法、アコニチンの精製方法、直ぐに胃内で溶けないカプセルの作製など、薬剤師の知識と技術を生かしました。またそれがきっかけとなって、現在、未規制薬物の鑑定鑑別に関する研究を行っています。薬学では薬以外にもいろいろな分野の知識、技術を学習します。その1つ1つが結び付いて境界領域を切り開いています。

研究の内容

未規制薬物の鑑定鑑別に関する研究
麻薬などのように法律で規制されている薬物以外に、幻覚作用や覚醒作用を催す化学物質、植物があります。これらを未規制薬物と呼びますが、欧米で新しく作られた麻薬に化学構造の類似した薬物や、中南米などに残る民族薬があります。これらの鑑定鑑別に必要な研究を行っています。
薬毒物及び不正不良医薬品の迅速分析に関する研究
救急救命の医療分野では、中毒症状をおこしている患者の原因薬毒物をいかに早く正確に解明するかが、治療上の大きなカギとなっています。薬毒物及び不正不良医薬品のライブラリーシステムを作る一方、機器分析による迅速化を検討しています。

どのようにして

大学内だけでは「社会が何を求めているか」を十分に把握することができません。成田空港税関や科捜研の職員と話し合い、救急救命センターの医師と交流して、現場の状況を教えていただいています。その上で、それぞれ現場の機関の方々と共同で研究を進めています。 また6年生の薬剤師を養成するに当たり、研修に利用させていただいている薬局等の医療機関との関係も深くなりました。日本薬剤師会とも連携して研究・研修を進めています。

将来の夢

成田空港、横浜港等では日々、多くの食料が外国から輸入されています。その際、食の安心を確保する目的で多くの衛生監視員の方が、安全性に関する試験(衛生試験)を行っています。また、麻薬犬まで動員して違法な薬物が輸入されないよう水際の監視を進めています。国内においては、都道府県に所属する保健所職員、衛生監視員の方々、麻薬取締り事務所に所属する麻薬Gメンがこの任務を負っています。この分野の研究を積極的に行っているのが我々の、衛生/公衆衛生学研究室です。我々の研究室で一緒に研究を進め、技術を習得した学生さんが、成田空港、麻薬取締り事務所、警視庁などの現場で力を発揮してもらうことを期待しています。

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