薬学部薬学科
心拍変動解析を利用した薬物の有効性、安全性の評価
心拍変動解析は自律神経機能を評価する手法のひとつで、ヒトでも動物でも心拍の間隔を測定すれば解析可能である。私達はラットに心電図測定用の送信機を埋め込み、薬物投与後の心拍変動を測定している。ポリファーマシーの削減が喫緊の医療上の問題となっているので、多剤投与時における有害な薬物の組み合わせを探索している。
げっ歯類を用いた医薬品、食品の嘔吐予測
嘔気、嘔吐は医薬品の副作用として発現頻度が高く、そうした副作用は患者の服薬コンプライアンスを低下させる。そのために、探索段階では嘔気、嘔吐のない化合物を選ぶこと、臨床段階ではそのマネージメントが重要である。動物実験に用いられるラットなどのげっ歯類は嘔吐しないが、私達はげっ歯類を用いた嘔吐予測モデルを確立した。従来の中大動物を用いる方法に比べて容易に嘔吐、嘔気の評価が可能となった為、げっ歯類を用いて医薬品、食品による嘔気、嘔吐の予測や機序の解析、回避法を検討している。
がんサバイバーの心循環器系リスクの評価
新規抗がん薬やそれらを組み合わせた治療法の発達によりがんの治癒率は向上し、がんからの生還者(がんサバイバー)が増加している。しかしながら、分子標的薬を含んだ抗がん薬の長期間の使用は薬物誘発性のさまざな毒性を示す。私達はその中でも循環器毒性(オンコカルディオロジー)に注目して、各薬物がどのような毒性を示すかやその機序を評価している。