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CONCEPT

研究概要

「ポリアミンの生理機能の解明と医療への応用」
当研究室では、「ポリアミン」を研究テーマにしています。ポリアミンとはアミノ基(-NH2)を複数持つ化合物の総称で、微生物から人間まで全ての生物に存在する生命に必須なものです。生体内で合成することもできるし、食物から摂取することもできます。ポリアミンは生命に必須ですが、細胞増殖を促進する作用があるので、癌では増加することが知られています。また、ポリアミンが少なくて病気になる(遺伝病の一種)こともわかっています。さらに、ポリアミンは加齢に伴って減少するため、アンチエイジングに関連する物質としても注目を浴びてきています。


研究内容

1.大腸菌などの微生物は、生育環境が急に変化してもすばやく対応する能力を持っています。この能力は、生育環境からの刺激に応じて大腸菌が細胞内で作る蛋白質の種類を常に変化させていることが原因の一つです。私たちは、ポリアミンが環境応答に必要な蛋白質の合成を調節している物質であることを発見し、この蛋白質をコードする遺伝子群を「ポリアミンモジュロン」と命名しました。現在、さまざまな環境で大腸菌を生育させ、新たなポリアミンモジュロンの探索を進めています。また、私たちのような真核細胞にもポリアミンモジュロンがあることがわかっており、真核細胞においても新規ポリアミンモジュロンを探索しています(図1)。最近の研究で、ポリアミンが微生物のバイオフィルム形成に関わっていることをポリアミンモジュロンの側面から明らかにしました。

図1


2.細胞が増殖するのに必要不可欠なポリアミンですが、分解されると極めて毒性の強い「アクロレイン」という物質に変わってしまいます。このアクロレインは活性酸素よりも数十倍も強い毒性を持ちながら、あまり注目されていません。最近私たちは、アクロレインが脳梗塞やアルツハイマー病と非常に深く関係していることを発見しました。現在は、(株)アミンファーマ研究所と共同研究で、脳梗塞の早期診断法の開発や新しい脳梗塞治療薬の開発に向けて研究を進めています(図2)。 最近の研究で、アクロレインの毒性機序の一つとして、アクロレインがグリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)に抱合し、不活化することで、アポトーシスを引き起こすことを明らかにしました。

図2


3.バイオフィルムは、微生物が排泄する多糖類などで囲まれた微生物の集合体で、身の周りでは、歯垢や排水溝のぬめりなどがあります。バイオフィルムは、金属の腐食や医療器具の汚染の原因をなります。細菌汚染を防ぐには、このバイオフィルムの形成を如何にして抑えるかが重要です。私たちは、サメ肌に着目して、サメ肌抗菌シートを作製し、さまざまな微生物に対して、バイオフィルム形成阻害など抗菌性を示すかどうか研究しています(図3)。 最近の研究で、サメ肌抗菌シートが緑膿菌及び黄色ブドウ球菌のバイオフィルム形成を抑制することを明らかにしました。

図3

バナースペース


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